エレクトロニクスのセミが鳴いているきこえない声としてそれはとある何か黒い金属性のひろがりにきらめく/瞬間の巨大なツノの形を刻んで行く砕かれたサファイヤの森にしたたるとおいこだまの影を映してそしてついに名づけられることのない閃緑岩の太陽を燐のように明滅させながらアラバスタの樹木のしげみからオリーブの葉が一枚燃えがらの〈道〉と〈夜〉のあいだに落ちて行くあ果てもない拝火教徒の固い豹の祈り透明の細長い泥の流れよタカはあおざめてかたむく畸形の水さしを鋭くねらうあえぐ瀕死のワニやロバとともにきしる盲目の蝋の車輪よケシの実のわずかにこぼれている影のない白い都市のイメーヂそれは不意に誰の声でもない焔の羽根のハガネにうたれて走る縄のように不可解な一匹の駝鳥として真昼見えないオシリスの水平線に泡立つ仮設的な刑罰の重みで音もなく鏡のように剥がれながら宝石の毛皮をかざりいけにえの行列をとぎれた沈黙の刻画へ浮きあがらせて空はただ黒い虹の濃密な影に染められて行く