←→①'。②!

こんなことなんでもないさ
極点に 単独で
こんなことに意味はないぜ
極道で 独房に
こころに言葉を被せれば
心理学の症例となり
また愚劣な学説を制度化することになる
〈自分にとっては〉という
《とって》だけのカップでコーヒーが飲めるものか
飲んでいるつもりになれるだけ
〈とって〉の感触は自分だけには優しいのだろうね
見えないカップの中で
狂気は白己完結し
波立つがこぼれ出しはしない
ここまで意味をすくい続けてきた
白己完成を飲み下だしたくなったら別の容器に
〈自分〉をたっぷり盛りつけたものを
 
第一連には強いるような意味はない
第二連にもなんの前提を持たない
惰性で言葉を吐き出してゆけば
言語表出法の底の埃まで見せることになり
また奇妙な解釈を浴びせられることになる
〈自分が自分を救う〉という命題に純飛躍ができない
着地の格好を気にする悪い癖が出てしまうから
〈自分は自分を救えない〉という具介に複合競枝に転向したとしても 
またひとつの《自分》を登録することになり
すぐジャンプ台から押し出すことになる
ここまで言葉で滑ってきた
白己放物線を描くなら別の斜面に
それなりの観客に見せつけてね
 
さて第三連
ここから始めることにしようか
僕が僕であることに大した意味はなく
一人分引き受けてしまったことは誤りであったと
反省を立体的に交響させる趣味の時間に
明日の幻想狂気予想図を取り出してみる
  狂気圧の谷は入り交りからみ合い
  生活圈は最狂の状態で荒れそうである
  地上的なるものを吹き荒らす幻想風
  記憶に全層なだれが生じ
  回想に封鎖され孤立する地域では
  歴史の共有感覚は埋もれたままである
  人情の最低気温が体温以下となるとき
  冷えすぎた言葉が割れ始める
それでは冷え込む明日に立ちすくまぬよう
心の不凍栓を閉め
せいぜい人間の形をしてみたり放してみたり
動き廻って暖を取る
格子の外の一行は
どこかで耐えて
第四連を待つべし
 
しかし
第四連は待て!