ウーティス

ウーティス
わたしのいない昼を
おまえはどうして過ごすのだろう
ただ白いシーツにくるまって
みえない月に吠えているような
そんな気がしてならないから わたしは
いくつかのガラス玉と鬼灯の実
ひと束の大麻草と銀のハモニカを
テーブルの皿に残して部屋を出る
おまえの眠りを覚まさぬように
ひそやかに
 
ウーティス
けれどわたしの帰る夜を
おまえは虚しく待つだけらしい
ささやかな玩具には手も触れず
膝を抱えて待つだけらしい
扉を開けると最初に出会うおまえの眼差し
この部屋はとても寒いから ウーティス
熱く濃厚な薄荷茶を飲もう
おまえの好きな水蛇の肉も買って来たし
今夜は少しお酒も飲もう
ふたりで
 
ウーティス
わたしはいきなりに酔う
おまえの肩先に凭れかかり
昔の歌をうわごとのようにうたう
おまえの腕に絡みつせてよ ウーティス
わたしをつかまえていて
わたしたちの場所はいつもなんて淋しい
凍えた薄明の玄室なのだろうね
ああ もっと飲もうよ ウーティス
いっしょに
 
ウーティス
おまえの脆い腕のなかで
わたしは不安な眠りに墜ちてゆく
おまえの胸のかたちは夜毎
優しく そして透きとおっている
眠りとともにそれは さらに
さらに眠りもなく透きとおってゆく
わたしは微かに苛立ち 淡く迷う
おまえはいったい誰なのだろう
けれどウーティス 抱きあって眠ろう今は ただ
ひそやかに